井上鑑氏「僕の音」Live vol.1-3@共鳴音叉

 井上鑑氏のリリカル・アコースティックライブ「僕の音」、
 エンディングは「深入り」の『Soundings』。

 この曲からは、「音楽」に対する鑑さんのミッションを感じ取れる。
 個人的にとても好きな楽曲である。.

井上鑑氏「僕の音」ライブ Vol.1

僕の音:英国式音楽造園術 Vol.1

染 め Absolute
はずみ バルトークの影
見渡し Criteria
見切り Wordium(組曲)
     (Serendipities 1 : Rounding KAVAKOV : アモルフィ :
      Serendipities 2 Waterfall : And Cool Thom :
      地上にただひとつの : Serendipities 3)
(Intermission)
うたた Wish
寄 せ Herbarium([千律譜 BASHO]組曲)
     (Rock Azaleas : 5000 Oak Trees : 睡蓮 :
      花カマキリ : Up North : Rock Azaleas)
深入り Soundings


 「Soundings」を英和辞書で引くと、「鳴り響く」「鳴る」以外にも、「測量」や「水深」、「深さ」といった意味が出ている。「深いところで鳴り響いている」感じは、井上鑑氏の音楽そのもの。

 今回の『Soundings』の演奏は、オープニングから意欲的だった。心が表出しているような感じ。圧倒されっぱなし。音楽に賭ける想い、ミッションやビジョンが伝わってくる。


 同じ曲から、どうしてこんなにさまざまな表現方法を導き出すことができるのだろう? 

 鑑さんの音楽からは、「マンネリ」とか「ワンパターン」といったキーワードを見出すことができない。
 「今宵限り」とか「限定」とか「スペシャル」とか、そういうキーワードが多いから、聴き逃してしまうのがもったいなく思えてしまう。
 おかげさまで次々と、あぁもう、次々と次々と......(泣き笑い)。


 さて。アンコール。

 『Soundings』と同じく『Criteria』内の1曲、『黒織部』。
 この楽曲も、CDバージョンとはまったく異なる「今宵限り」の演奏である。今日のバージョンは、きらきら輝いていて、艶っぽい。

 「織部」は、江戸時代初期、美濃地方にて焼成が開始された焼き物である。名前の由来は、「茶人 古田織部の好みで創られた」から。

 通常の焼き物は均整のとれた形をしているが、織部焼は、その多くがゆがんだ形状をしている。それぞれが独特、それぞれがオリジナリティにあふれていて、バラエティに富んでいることが織部焼の特徴である。まさしく、鑑さんの演奏っぽい焼き物。

 今日の鑑さんの『黒織部』は・・・・・・
 地は白で、縁は黒。縁は少し外側に広がっている。模様も黒色で、岩躑躅がざくざく描かれていて、太いカマのような文様も入っている。白地の中には、きらきら光る粒子も混ざっている。そんな感じ。(わはは、意味不明かも?)


 いよいよエンディング。

 楽曲は、オープニングでも演奏された『Absolute』。
 井上鑑氏の英国式音楽庭園を一巡して戻ってくるという設定。もちろん、演奏は異なるけれど。

 しばし呼吸を整え、心を落ち着ける仕草をなさった後、1音1音大切に演奏なさる。

 聴こえてくる音色は、美しくて繊細かつ、きらびやか。道が続いていくような水が流れて続いていくような、蚕の繊維がす~っと伸びて続いていくような、そんな印象。
 ・・・要するに、Vol.2へ続く、という予告なのですな(♪)


 演奏が終わってからも、しばらくの間、脳の中で音符たちが鳴り響いていた。

 共鳴箱付きの音叉を鳴らすと、良質の響きがかなり長いこと続いている。
 共鳴箱なしの普通の音叉は、次第に音が拡散して消えていく。
 一方、共鳴箱付き音叉は、共鳴箱の中で増幅されて、ぐるぐる~っと音が回って鳴り響いている。鑑さんのエンディングの演奏も、そういう感じがした。

 しばらくの間、この余韻を楽しみたかったのだが・・・・・・。


 エントランスに出てみたら、壮絶なことになっていた!

 鑑さんのライブで、この光景を目撃することになろうとは......!
 某バンドを応援する主婦層の群れと、まったく同じ光景......! 


 「払ったチケット代の分は、必ず元を取る」って、その根性、さもしくないか?

 毎回毎回、待ち伏せして、記念撮影せがんでサインいただいて、
 現像した写真を再び持参して、さらにサインいただいて、
 そのコレクション集めのネライはどこにあるの? いったい誰のため? 何のため?


 はぁ~~~~~・・・・・・・・・・・・・。



 今回の「僕の音」ライブ Vol.1は、
 鑑さんに関わってくださった皆さんの叡智の結集でしたね。

 素晴らしいライブを堪能させていただきました。


 鑑さん、
 赤川さん&正剛さんはじめ、関わってくださった皆さま、
 共鳴するライブを、ありがとうございました。


「僕の音」ライブ
プロデュース・出演・作詞・作曲・構成 : 井上鑑
音響 : 赤川新一、片倉麻美子
照明 : 藤本晴美
制作 : 青澤隆明、高橋さえ美
宣伝美術 : 松田行正
コンセプト・デザイン : 松岡正剛 (敬称略)


●「僕の音」ライブ ライブレポート・マインドマップ●

「僕の音」ライブの根幹は、2つの組曲。

それぞれ演奏時間も内容も、濃くて味わい深い組曲で、
「なんだか専門辞書を閲覧している気分」だと思えた。

そこで、Wordium辞書とHerbarium辞書をイメージしながら
セントラルイメージをまとめてみました。

さらに、このライブで印象的だったのは、
影だけが登場なさった鑑さんのお姿。
このお姿も、辞書からほんのりと見えてくるイメージでまとめてみました。

(それぞれに合わせて3枚描きたかったのだけど......時間切れ)