井上鑑氏 僕の庭Llive in富山@音楽でたどる自分史ライブ

 20日、富山市の総曲輪かふぇ「橙」にて、「井上鑑 僕の庭in富山」が行われた。

 ライブハウス「橙」は、オープンして約1年半。2階が吹き抜けになっていて音の響きも美しい。グランドピアノの調律具合もとても良くて、鑑さん曰く「小さな音を弾きたくなる」。音がまろやかに響き渡る空間で、確かにひじょうに心地よかった。

井上鑑「僕の庭in富山」

 

 今回は、井上鑑氏の著書『僕の音、僕の庭』の内容を音楽でたどっていく試みで、対面式ライブは「初めて」とのこと。

 演奏のメインは、グランドピアノ。たまにMOTIF XF8と打ち込みの音源で曲調を変化させつつ、クラシカルな楽曲からアバンギャルドな楽曲までバラエティ豊かに演奏された。

 なんだかずっと映画を観ているような感じがしていた。
 表情豊かだったのは、主役のリラックスの度合いも関係あったのかも。

井上鑑「僕の庭in富山」

 

 特に驚いたのは、ピアノ演奏の「Sensual Masala」。「井山大今」での演奏とも風景が変わる。井山大今での演奏ではアジアンテイストが濃厚だが、ソロピアノによる演奏ではヨーロッパ調でスマートでお洒落。
 ビートルズの「Get Back」、原曲はジェントルマンな雰囲気が強いが、鑑さんの「Get Back」はコケティッシュに変わっていて、じつに楽しかった。

 この他、「Imagine」「出航:さすらい」「スピーチバルーン」「wish」「夏の庭にて」「X=歩幅」「Soundings」「Absolute」そして「鳥の歌」など、井上鑑氏の半生と密接に関わりのある楽曲が次々演奏された。想いや心が伝わってくる選曲だった。
 相変わらず、曲の並べ方や構成のしかたがお見事......。

 「夏の庭にて」は、井上鑑氏のアルバム「CRITERIA」を最初に聴いたときにダントツでお気に入りになった楽曲で、この曲の背景を知ってますます好きになった。再び生演奏を聴けたことがとても嬉しかった。ちょいと涙した(^^;)
 他にも、生演奏で聴きたい楽曲が「この夜限りのアンサンブル」で演奏され、ひじょうにグレードが高くて充実のひとときになった。

 

 じつは2011年9月8日に行われた「井上鑑氏ガーデン・パーティVol.2」の日、すごく楽しそうに演奏し、すごく楽しそうにアレンジの指導をなさる鑑さんを拝見していたら、「音楽、やりたい」の気持ちが蘇ってしまった。
 絶望して音大受験をあきらめたときにピアノを弾くこともトーンダウンしたのに、ああいう楽しそうな現場を拝見してしまうと、自分も演奏したくなってしまう。観客ではなく、当事者に戻りたくなる。編集者の編集魂なのかもしれない(苦笑)

 昨年は鼓膜を破ったり突発性難聴になったり耳の具合が最悪で、音の世界を失うかもしれない状態だったのに、そんなことを気にする以上に、音楽をやりたい!気持ちのほうが強くなった。
 「音楽が好きで好きで好きでたまらない」鑑さんの想いに、めちゃくちゃ感化されたみたい。これも井上鑑マジックなのだと思う。

 そんなふうな経緯でたどたどしいピアノを再スタートして半年以上経過したおかげで、今回のライブでは譜面が見えるようになってきた。指遣いをぼんやり眺めるよりも一歩進化したらしい。ますます嬉しくなった。

 

 たっぷり楽しませていただきました。
 30年ぶりの富山も、とても楽しかったです。

 鑑さん、関係者の皆さま、ありがとうございました。