ムーミン本、読了☆

2014年は、トーベ・ヤンソンさん生誕100年。これを記念して、東京銀座 松屋での展覧会を皮切りに、全国でムーミン展が開催されています。
井上鑑さんは、松屋の展覧会に足を運んで感動し、以後、ムーミン本をすべて揃えて読んでいらっしゃるそうです。

この話をDSD Trioライブにて伺ったとき、私は地団駄を踏みました。

ムーミン原画展が開催されていること、知っていたのです。
しかし、私は行きませんでした。「動けなかった」が正しいですが、とにかく行動を起こさなかった......。そんな自分に情けなさを感じました。師匠さすがと思う一方で、弟子として猛烈に悔しい。

ムーミン本を読破しないと、この悔しさは打破できそうにありませんでした。


▼全9冊+青い鳥文庫(名言集、入れ忘れた...)

ムーミン全9冊+青い鳥文庫


ムーミン本は全9冊、このシリーズとは別に『ムーミン谷の名言集』としてダイジェスト本が出版されています。
お手軽に『ムーミン谷の名言集』だけを読んで「分かった氣」になるのは、絶対にNGです。それは昨年、一連のパブロ・カザルス本をまとめ読みして痛烈に感じたことでした。

2013年は、[連歌 鳥の歌]プロジェクトがあった関係で、パブロ・カザルスさんに関する書籍を一気にまとめ読みしました。絶版本も多かったので、図書館や古本も総動員して、集められるだけ集めて読みまくりました。一部は、[連歌 鳥の歌サポーターサイト]に掲載しています(あ、書き忘れのままの本がある......ぐっ)。

それまでは、井上頼豊先生が執筆なさった2冊と、ちくま文庫の『パブロ・カザルス 鳥の歌』ぐらいしか読んでいませんでした。 しかし、ほぼすべてを読んでみて、それぞれの立場から執筆することで、さまざまなカザルスさんがリアルに浮かび上がってくることを体感したのです。

「本は、多読しなさい」

松岡正剛校長の一言を実感......(焦)


『パブロ・カザルス 鳥の歌』は、カザルスさんの言葉をカテゴリーごとに整理して、Julian Lloyd Webberが一冊としてまとめたものです。『ムーミン谷の名言集』と、ほぼ同じ立ち位置です。

名言集1冊だけを読んで「分かった氣」になるのが大変チープであること、これでお分かりいただけますね。


さて。
全9冊+1冊の読破を決めたものの、9冊+1冊を購入すると、文庫といえども結構な金額になります。

まずは、図書館で借りて読み始めました。

ところが、案の定というか、マーキングしたくなってしまったのです。このあたりは、編集学校に通った人たちでしたらお分かりいただけると思います。
ぐいぐいっとマーキングしたいのをこらえて付箋を貼るのですが、次第に我慢できなくなりました......。

ぷつっ!

結局、まとめ買いをしました(>_<;
9冊+1冊で、だいたい7,000円。通常のライブの1回分ぐらいの金額です。
(こうやって考えると、F山ライブは壮絶に高額で不適正な価格設定であることがよくわかります。豆粒に1万円.........)


書籍を揃えてから約2週間、日々の仕事の合間に読み進めました。ひじょうに面白かったです。鑑さんがムーミンにハマられた理由、なるほど納得しました。

鑑さんは、ムーミンの周囲の生物たちを「自己中心的で、ちっともムーミンのことを助けない」と仰っていましたが、個人的には、そうではないと感じました。

ムーミンの周囲の生物たちは、「自己中心」ではなくて、「自分中心」なのですよ。

「自己中心」とは、たとえば、鑑さんと会話をしたいとき......。
グッズ購入者の特典として鑑さんと会話できるわけですが、何も購入しない状態で横入りして長話をして、ついでに持参したCDにサインさせて一緒の写真まで撮らせるおばさん。こういう人を「自己中心」と言います。

一方、「自分中心」とは、自分の世界観やYES/NOをしっかり言葉で伝えられる人のことです。スナフキンが良い例ですね。「ぼくはやりたくないな」と、ちゃんと自分の意志を伝えています。

このあたりは、石原加受子さんの書籍を読まれると、すっきりとわかりやすいと思います☆

「自分中心」の生物に囲まれているから、ムーミンは、相手にどんな反応をされても、「うん、そうだよね」と相手の状態や立場を鑑みることができるのだと思います。


さて。
今、ひととおり読破しましたが、ここで再び正剛校長の声が脳内で響いています。

「本は、3回読みなさい」

トーベさんの描くムーミンの世界、トーベさんが育った時代のこと、トーベさんご本人の立ち位置など、いろいろと感じるところも多いので、校長が仰るとおり、最低でもあと2回は読みます。

一番お氣に入りの1冊は、当然、マインドマップにします。

さらにもちろん、この9冊+1冊だけで終わらせる氣はさらさらなくて、トーベさんのムーミン以外の作品集、ムーミン本の翻訳者のお一人、冨原眞弓さんから見たトーベさん像やムーミン像の書籍などなど、まだまだ読みたい書籍が多々揃っています。2014年はメモリアルイヤーということで、記念本も多々出版されていますしね(うぅぅ)。


トーベさんの故郷フィンランドは、学力で競争をしない国です。

「1位を獲る」ことがベストではないので、子どもたちは他人と比較する必要もなく、自身の個性や発想力を大切に伸ばすことができます。
教育には、「カルタ」が使われています。中央から放射状にキーワードを連ねていき、発想力や連想力を高める方法です。

そう、マインドマップの原型なのです。

こういうつながりも面白くて、昨年のスペインに続き、今年はフィンランドの書籍を読む機会も増えそうです。新たなテーマが増えて、ますますハマっていきます。
きっかけを作ってくださった鑑さん、ありがとうございました☆


★青い鳥文庫

講談社文庫のムーミン全9冊以外に、2014年に「青い鳥文庫」として、子ども向けのムーミン本が出版されました(写真の右端の書籍)。内容は、講談社文庫の全9冊と同じです。版型が新書サイズであること、ルビが振られていることが大きな違いです。

と、思いきや、それ以外にもいくつか違いがあります。

版型の制限のために、文庫では割愛された挿絵や、本文とは離れた位置になってしまった挿絵が、青い鳥文庫のほうは本文に沿った位置に入っています。また、「あとがき」を書くメンバーが異なります。それぞれのムーミン像が語られていて、これがひじょうに面白いのです。読み比べてみることをお勧めします。


★お勧めの書籍

「旅のスケッチ」(トーベ・ヤンソン 筑摩書房)
トーベさんのムーミン以外の短編集です。ムーミンとはまったく異なる世界観です。挿絵も大人向けで、やわらかく滑らかで、トーベさん本来の感性を感じます。

「ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン」(冨原眞弓 新潮社)
ムーミン本の翻訳家のお一人、冨原さんから見たトーベさんをまとめた書籍です。トーベさんの過ごした島の風景、トーベさんの思い出、トーベさん作品の一覧、ムーミンに出てくる生物たちの一覧表など、ひじょうによくまとまっています。

「ムーミン谷の絵辞典 英語・日本語・フィンランド語」(トーベ・ヤンソン 他 講談社)
金額は張りますが、それだけの価値がある1冊です。挿絵を楽しみつつ、英語やフィンランド語も学べます。パラパラとめくるたびに発見があります。